2015年10月19日月曜日

児童虐待 背景にある困窮に目を

(ブログ目次はここをクリック)

児童虐待 背景にある困窮に目を
信濃毎日新聞 2015年10月19日(月)

 虐待の深刻な実態があらためて浮き彫りになった。全国の児童相談所が対応した件数は24年連続で増え、昨年度は8万9千件近くに上った。命を落とす痛ましい事件も後を絶たない。

 児相の職員は対応に追われて手いっぱいな状況だ。人員を増やし、態勢を充実させる必要がある。同時に、児相に頼り過ぎず、地域や社会全体で取り組みを強めることが欠かせない。

 厚生労働省の専門委員会がまとめた一昨年度の虐待死事例の検証結果によると、児相の担当職員が受け持っていた事例数は一人平均およそ110件に上る。多忙さは想像に難くない。

 虐待の実態を把握して保護や支援をするためには、親との面談や家庭訪問などを重ねる。時間と労力を要し、精神的な負担も大きい。法的な手続きが必要な場合も少なくない。職員の負担を減らすには、弁護士らの助言を得やすくすることも重要だろう。

 関係機関の連携も進んではきた。自治体と児相、警察、学校などによる「要保護児童対策地域協議会」が各地域に設けられている。けれども、会議を開くだけのところも多いようだ。

 どう実効性あるものにするかを真剣に考えなくてはならない。「個人情報の保護」が情報の共有を妨げ、連携を難しくしている面もある。それも改めるべきだ。

 児相の対応件数はこの10年で2・5倍以上になった。背景として見過ごせないのが、子育て世代の困窮だ。虐待があった家庭の3割以上が「経済的困難」を抱えていたとの調査結果も出ている。

 特に、母子家庭などひとり親家庭は半数以上が貧困状態にある。安定した収入がないため仕事をかけ持ちして働き、疲れやいら立ちが育児放棄や子どもへの暴力につながる場合も少なくない。

 非正規の不安定な雇用が広がって生活の基盤を築けなくなったことが、虐待を生む素地にもなっている。「親が悪い」と責めることは、悩む親をさらに追い詰めることにしかならない。

 気持ちに余裕を持って子どもと向き合えるようにするには、経済的な支援や、孤立を防ぐ取り組みが不可欠だ。根本的には、雇用を安定させ、貧困をなくしていくことが重要になる。

 虐待の増加は、社会が子どもを守り育てることができていない現状を映し出している。自治体や国の取り組みを求めるとともに、地域、社会の一員として自分は何ができるかを考えたい。
 
(安倍内閣には、以前(2007年)からこどもの貧困の問題が指摘されていました。その結果が以下のグラフです。)

(こどもの貧困率の逆転現象)
http://www.jec.or.jp/soudan/images/kikanshi/66-2-7.pdf
 子どもの貧困率は、世界的な経済状況よりも、国内の政策という人為的かつ意図的なものに左右される度合いの方がはるかに大きい。これを示すのが、上の図である。  上図は、先進諸国における子どもの貧困率を「再分配前」(就労や、金融資産によって得られる所得)と、それから税金と社会保険料を引き、児童手当や年金 などの社会保障給付を足した「再分配後」でみたものである。再分配前の貧困率と再分配後の貧困率の差が、政府による「貧困削減」の効果を表す。
 先進諸国においては、再分配前に比べて、再分配後には貧困率が大幅に減少している。つまり、政府の再分配政策(税制や社会保障制度など)によって、子どもの再分配前の貧困率を、大きく削減している。

 この図の衝撃的なところは、日本が、OECD 諸国の中で、唯一、再分配後の貧困率が再分配前の貧困率を上回っている国である。つまり、日本の再分配政策は、子どもの貧困率を削減するどころか、逆に、増加させてしまっているのである。 

 こどもの貧困については、安倍内閣には以前から、以下の様に、こどもの貧困の問題が指摘されてきました。

2007年2月13日、日本共産党の志位和夫委員長が、衆院予算委員会での総括質疑で、子どもの中での貧困の広がりを指摘し、「成長の可能性をはばむだけでなく、貧困が次世代に引き継がれる危険をつくりだしている。日本の未来にとって重大な問題だ」と、安倍晋三首相を問いただした。
志位氏は、経済協力開発機構(OECD)の報告書をもとに、平均的所得の半分(貧困ライン)以下の家庭で暮らす子どもの割合が、OECD諸国平均を上回る 14・3%にのぼると指摘。とくに母子家庭・ひとり親家庭では貧困ライン以下の家庭で暮らす子どもの割合が57・9%にものぼり、平均の三倍近くになるこ とを明らかにした。

 安倍首相は「貧困が再生産される日本にしてはいけない」と答弁した。

 志位氏は、子どもの貧困に向き合う政治の責任として、予算のあり方と最低賃金の問題を取り上げた。

 志位氏は「税制と社会保障で所得の再分配をおこなうことが予算の役目だ」と指摘。ところが、日本では税制と社会保障によっても子どもの貧困率が逆に1・4%高まるという逆立ちぶりを浮き彫りにしたグラフを突きつけた。

 志位氏は、所得の低い母子家庭に対して子どもが十八歳になるまで支給されている児童扶養手当の大幅削減を政府がすすめようとしていることを批判し、
生活保護を受けている母子家庭への母子加算の段階的廃止を政府がすすめようとしていることを批判し、
「母子家庭の『命綱』を二本ともたち切ろうとする冷酷な政治だ。
中止を強く求める」と要求した。

 母子加算の段階的廃止について、安倍首相は「生活保護を受給している世帯と、していない世帯との公平性をみないといけない」とのべた。志位氏は「懸命に 生きている母子家庭から母子加算を取り上げるのではなく、必死に働いても生活保護水準以下の暮らししかできない母子家庭の水準を引き上げるために心を砕く ことこそ、本当の公平性だ」と厳しく批判した。

最賃の抜本的引き上げを

 さらに志位氏は、貧困の広がりの土台に世界でも最低水準の最低賃金があるとして、「最低賃金で働いても貧困にならない社会を目標にし、最低賃金を労働者の平均的所得の五割にすることを目標に掲げるべきだ」と求めた。

 安倍首相は「中小企業を中心に事業経営が圧迫され、雇用が失われる可能性が高い」と答弁。
志位氏は「中小企業の経営を圧迫するというなら、無法な下請けいじめをやめさせることこそ必要だ。
最低賃金の抜本引き上げを中小企業の経営を応援する政治と同時並行ですすめるべきだ」とのべた。
その上で、「貧困と格差を土台からただしていくために、最低賃金を抜本的に引き上げ、全国一律の制度とすることを強く求める」と強調した。
---------------------------------

(参考データ)

下村博文(文部科学大臣・教育再生担当大臣・衆議院議員・自民党)が、国民の兵役義務や強制労働を匂わせている
 「大学教育の国際化は急務だ。それだけでなく(若者に)半年間、海外青年活動や福祉のボランティア、自衛隊の体験入隊などできたら労役的義務を課して、若者たちに受身ではなく積極的に前向きに生きる姿勢を身につけてもらいたい。
(2012年1月19日)


前原金一(経済同友会副代表・住友生命総合研究所代表取締役)が、国民の兵役義務や強制労働を匂わせている
 「今,労働市場から見ると絶好のチャンスですが,放っておいてもなかなかいい就職はできないと思うのです。

前も提言したのですが,
現業を持っている警察庁とか,
消防庁とか,
防衛省などに頼んで,
1年とか2年のインターンシップをやってもらえば,
就職というのはかなりよくなる。
防衛省は,考えてもいいと言っています。
 前の学生・留学生課長の松尾課長にも申し上げました。
文科省だけで解決しようとしないで,国を挙げて,
厚生労働次官にも申し上げたのですが,百数十万人いる無職の者をいかに就職させるかというのは日本の将来に非常に大きな影響を与えるので,
それをやってほしいとお願いしているのですよ。
貧困解決に「経済的徴兵制」とか言っちゃう人達と経済同友会とかいうカルト集団



 アメリカでは、「徴兵制はいらない。貧困があるから」と言われていて、まさに国家規模の「貧困ビジネス」が戦争になっているわけです。


安倍政権の福祉は【兵隊】貧しい若者を兵隊として「食わせる」国防は最大の福祉と!佐藤正久・自民党参院議員
 
△右翼政権がボリビアとウルグアイを貧困にした


2015年3月6日:ふつうは業績回復が先行し、その後に人件費は増加していく。ところが、現状ではそうなっていない。


2015年6月8日:安倍政権はこれでも派遣法を改悪するのか?派遣労働で貧困にあえぐ”普通の女性たち”
http://www.jil.go.jp/press/documents/20150630.pdf
「母子家庭の原因の離婚の原因は貧困」 

(参考データ)日本の政治の結果の経済
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Xlsdl.do?sinfid=000026271631
厚生労働省の毎月勤労統計調査の統計表一覧、季節調整済指数及び増減率11(実質賃金 季節調整済指数及び増減率、現金給与総額(5人以上))から(1月-3月)データを抽出


http://www.stat.go.jp/data/gousei/soku10/zuhyou/1s.xls
総務省統計局家計消費指数 結果表(平成22年基準)の、総世帯の家計消費指数のデータから、実質家計消費指数を抽出


http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa14/index.html
「母子家庭の原因の離婚の原因は貧困」 を参照)


2015年3月6日:ふつうは業績回復が先行し、その後に人件費は増加していく。ところが、現状ではそうなっていない。


2015年6月8日:安倍政権はこれでも派遣法を改悪するのか?派遣労働で貧困にあえぐ”普通の女性たち”
http://www.jil.go.jp/press/documents/20150630.pdf


2014年02月10日11時52分
【日本の給与レベルは16年ぶりの低水準、アベノミクスが新たな壁に直面=アメリカのメディアが報道】
 米メディアはこのほど、日本の給与水準が低下し続けているため、給与の引き上げなどを通じてデフレの脱却を目指す「アベノミクス」が新たな壁に直面して いるとの見方を示した。また、多くの中小企業の賃上げが見送られている中、一部の大手企業のベースアップだけで4月の消費税引き上げの悪影響を解消できる かどうか現時点では不明だと指摘した。



(当ブログのコメント)
 アメリカのメディアの予想通り、2014年は、消費税の3%の引き上げを全く解消できずに、2014年度分の(5人以上職場の)実質現金賃金は、 2013年度より3%低下し 2010年の94.9%(1998年の88.3%)に下がった。


日本と中国の名目GDP(ドル換算)
http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDPD&c1=CN&c2=JP
http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDPD&s=1980&e=2015&c1=JP&c2=US&c3=&c4=&c5=&c6=


2014年11月19日
 海外メディアが相次いでアベノミクスを痛烈批判!タイム誌「消費税よりもアベノミクスそのものが失敗」「日本が景気後退入り」


2014年12月1日
 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは2014年12月1日、日本の長期国債の格付けを「Aa3(ダブルAマイナスに相当)」から「A1(シングルAプラス)」へ1段階引き下げたと発表した。財政赤字削減目標の達成可能性に不確実性が高まったほか、デフレ圧力の下で成長戦略のタイミングと有効性に対する不確実性が高まったと判断した。
(これで、日本国債の格付けは中国国債や韓国国債やサウジアラビア国債よりも低くなった)



2015年4月27日
 米格付け会社フィッチが、日本国債を格下げした。


◆円安で流出する日本の所得
円安の進行は、経済成長の観点からは成長率を押し下げる方向に働く。

0 件のコメント:

コメントを投稿