2015年11月2日月曜日

「憲法守ろう」黒塗り日野市封筒 憲法順守 消された理念

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「憲法守ろう」黒塗り日野市封筒 憲法順守 消された理念
2015年10月31日 東京新聞朝刊

 東京都日野市が、公用封筒に印字された「日本国憲法の理念を守ろう」という文言を黒く塗りつぶし、市民らに七百~八百枚を発送していたことが分かった。
市側は「封筒は古いデザインで、現行型に合わせるため」と釈明しているが、
市民から抗議の声が寄せられ、
大坪冬彦市長が市のホームページ(HP)で
「誤った事務処理で市民の皆さまに誤解を与えた」
と対応のまずさを認めた。 (加藤健太)

 問題となったのは、長形3号の縦長の郵便用茶封筒で、大きな「日野市」の文字の左下に「憲法の理念を守ろう」の文言が印字されている。
二〇一〇年度のモデルで、四月一日からの一年間、全庁的に使われた。

 市によると、今年二月ごろ、用水路や公園の維持管理を担う「緑と清流課」で、使っていない一〇年度モデルが課内の段ボール箱に一千枚以上残っているのが見つかり、捨てずに利用することにした。

 同月、現行モデルにはない憲法の文言を、黒いフェルトペンで塗りつぶし、
同課の業務で、主に返信用封筒として市民らに郵送。
このほか、封筒を貸した都市計画課からも、黒塗りされた二十枚が発送された。

 緑と清流課の原正明課長は本紙の取材に、自身が指示したことを認めた上で、
「現行モデルと見た目のデザインを合わせる必要があると判断した。封筒のデザインは、その時々で、発信したいメッセージやキャッチフレーズが変わるため定期的に変更している」
と説明。
憲法の文言が何年度から採用されたかは分からないが、長い間、印字されてきたという。

 この文言は一〇年度モデルを最後に消えたが、その理由について市は「把握できない」としている。

 この黒塗りされた封筒は今月に入っても使用され、
受け取った人が問題視し、二十五日にインターネットに画像を投稿して拡散。
市には抗議の電話やメールが五十件近く届き
「中立であるべき役所にあるまじき行為」
などの批判が寄せられたという。

 原課長は
「当時は見た目のことばかり考えてしまい、短絡的だった。
憲法の文言をあえて消す必要はなく、メッセージ性を持った行動と受け取られても仕方ない」
と話し、
手元に残った黒塗り封筒五百枚は、全て処分する方針を示した。

 市は三十日午後四時すぎ、HPで経緯を掲載。
この中で大坪市長は
「誤った事務処理で市民の皆さまに誤解を与えて遺憾に思う。
憲法をはじめとする法令順守は市政の基本であり、今後も揺るぎない」
とコメントしている。

◆理由思いつかない

<田島泰彦・上智大教授(メディア法)の話>
 全く普通のスローガンで消さなくてはいけない理由が思い付かない。
客観的に見れば、憲法を否定する意思表示。
市民の批判は当然だ。
安倍政権が進める改憲の動きと符合しており、逆に政治的だ。

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