2015年10月25日日曜日

Copy:こどもの日 安倍政権と子どもの減少数日本一の大阪維新はデンマークの少子化対策に学べ

(ブログ目次はここをクリック)

こどもの日 安倍政権と子どもの減少数日本一の大阪維新はデンマークの少子化対策に学べ
2015年05月05日

なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか
 ケンジステファンスズキ 合同出版
 世界最高レベルの社会保障制度を整え、食料もエネルギーも自活、世界でもっとも民主主義が進んでいる国、デンマーク。「共生」の政策理念の基盤となる国の歴史と国民の姿を通して、年金・雇用・貧困・格差・「愛国心」・環境・エネルギー・食料など問題の山積する日本社会を見つめ直す。

 総務省が「こどもの日」に合わせて2015年5月4日発表した4月1日現在の15歳未満の子供の推計人口は、2014年より16万人少ない1617万人でした。

 これは1982年から34年連続の減少で、比較可能な50年以降の統計で過去最少を更新しています。総人口に占める子供の割合も0.1ポイント低下の12.7%で、41年連続で低下しました。

 つまり、今の日本の最大の問題である少子高齢化は、実は3~40年前からわかっていて、手を打っていないといけない問題だったんですね。

 子どもの数を3歳ごとに年齢を区切って集計すると「12~14歳」が347万人で最も多く、年齢層が下がるほど少なくなり、「0~2歳」は309万人ということで、子どもの数の減少がこれからも急速に進んでいくことがわかります。

 なんと都道府県別(2014年10月1日時点)にみると、子供の数が前年より増えたのは東京(1万4千人増)だけで、福岡と沖縄は横ばい、44道府県は減ったのですが、その中で減少数が最も多かったのは大阪府で、また1万6千人も減りました。

 橋下徹氏が大阪府知事になってから、もう8年目の大阪府政なんですがね。

 この少子化問題でも、橋下大阪市長と松井府知事の大阪維新の会が掲げた「子どもが笑う大阪」が嘘っぱちなのが数字で表れています。

 「『子どもが笑う』 とは皆さんが笑うことではない」橋下大阪府知事が女子高生を泣かせたハシズム全開討論

 さて、日本のこどもが減っているのは出生率(しゅっしょうりつ)が下がっているからです。出生率とは人口学において、通常、人口1000人あたりにおける出生数を指します。

 これとは別に、合計特殊出生率という統計もあって、これは1人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数で、その年の15~49歳の女性が産んだ数をもとに算出する数字ですが、2・07が人口を維持できる水準とされています。男女二人で子どもを作るわけですから、二人ちょっと作るようでないと人口は減ってしまうということです。

 この合計特殊出生率が日本はOECD加盟国34か国中30位で、2014年には1.4になってしまいました。

 大阪が日本で一番酷い子供の減少数といっても、これはもちろん大阪単独でどうにかなるものではなく、安倍政権が担う日本全体の問題です。

 そこで安倍首相が2014年11月6日に発表した目標が世間をあっと驚かせました。

 地方創生の司令塔となる「まち・ひと・しごと創生本部」が人口減少の抑制と地方活性化に向けた「総合戦略」と「長期ビジョン」の骨子案をまとめ、合計特殊出生率を「1.8程度」に引き上げる目標を掲げたのです。

 その中の「長期ビジョン」では現状のままでは2050年に6割以上の地域で人口が半減し、2割で住民がいなくなる!!と指摘し、2060年に1億人程度の人口を維持するには出生率の改善が不可欠として
「結婚や出産に関する国民の希望が実現すると、出生率は1.8程度に改善する」
と明記しました。

 あと40年で2000万人人口が減るにとどまるという1.8という数字目標もまるで展望のない絶望的な数字と言われていて、安倍首相は有識者会議で

「省益を排除して、必ず実行するという決意を持って取り組んでほしい」

と発破をかけたのですが、決意だけではどうにもならんでしょうと失笑を買いました。

 しかし、実は合計特殊出生率1.8という水準は経済協力開発機構(OECD)諸国の半数以上の国が実現している数字です。

 そして、ここに、わずか12年間で出生率が1.37人から1.82人にまで上昇したというモデル国があります。

 それがデンマークです。

 デンマークの対策を概観すると、育児に対する直接的な制度設定だけでなく、就労後や、家族関係、老後の安心に至るまで、すべて1本筋の通った改革方針で取り組んだことがわかります。

(直接的な制度)
・子供の自立を促すために、18歳になると国から生活支援金か奨学金が月約6万円支給される
・出産・育児休業中の給与が月17万円保障される
・労働条件の改善(週37時間制で、8時始業、16時で一旦終業。必要に応じてフレックスタイム可能。年5週間の長期休暇が取れるなど)


(間接的な方針)
・男女役割の平等化……共働きの普遍化、性差のない賃金、家事育児の対等負担、女性議員の大量進出(37%程度)など
・実質的な教育制度……大学まで授業料無料、能力・適性に応じた進学で学習塾もなし、社会体験を評価する、学歴による収入差が少なく、学歴差別感がない、など
・家族で楽しむ雰囲気……収入よりも自由時間を、残業よりも家族を大事に、子供は2人よりも3人欲しいなど
・社会制度の充実……医療、老後に心配がない、貯蓄の心配がない、など



格差と貧困のないデンマーク―世界一幸福な国の人づくり (PHP新書)
千葉忠夫 PHP研究所
 世界的な「経済大国」のはずの日本がいまや、格差社会、貧困率の上昇、高い自殺率、少子高齢化など、若者が将来に不安を感じる問題で溢れている。一体、解決策はどこにあるのか?実はそのヒントが、「国民の幸福度ランキング」で世界第一位を獲得した北欧の「福祉先進国」デンマークにあった。本書では、「一四歳の自分探し」「高卒は国家試験を受かったエリート」「職業別専門学校で実力を磨く」などの事例を紹介。学歴ではなく、子供たちに実社会で生きる技術と誇りを身につけさせる国民教育を問う。
 ここでお金を使えばいいと間違えてはいけません。

 デンマークの隣国の大国ドイツも少子化問題に対し、さまざまな対策を講じています。

 特に重点を置いているのが、子どもを持つ家庭の経済的負担を軽減させることで、子どもが18歳の誕生日を迎えるまで毎月支給される児童手当のほか課税上の優遇措置をあわせると、子ども1人当たりの支給額の合計は14万6000ユーロ、1ユーロ=130円換算で約1900万円!!!に上ります。これはOECDの平均12万4000ユーロをはるかに超える、トップクラスの水準です。

 しかしながら、出生率はOECD平均の1.74人を下回る1.36人!

 それも韓国(1.15人)、ポルトガル(1.32人)、ハンガリー(1.33人)に次ぐワースト4位で日本と争っている有様です。

 ドイツは1980年は辛うじて1.56人(OECD平均2.18人)の出生率でしたが、83年以降はずっと1.5人を下回り、この30年近くほとんど変化が見られません。長期にわたる多額の現金支援も、全く功を奏してはいないと言えるでしょう。

 このドイツの少子化対策予算は世界第三位のGDPの2.78%(OECD平均 2.23%)です。デンマークも凄くて国内総生産(GDP)の3.67%で、これも少子化対策成功国のフランスに次ぐ2位ですが、額からするとドイツは圧倒的です。

 しかしその予算の使い道では、ドイツとデンマークに大きな違いが見られるのです。

 デンマークの直接現金支給額は1人当たり3万8000ユーロ程度と、1位のドイツと違ってOECDで最も低い国の1つです。

 つまり、ドイツの少子化対策は、現金支給(税優遇含む)が政策の大半を占めていますが、デンマークは育児と仕事の両立ができる環境を整えることに重点を置き、保育所や学校などの施設拡充により多くの費用を投じているのです。

 しかし、ここで気になるのが財源の問題です。

 デンマークで日本の消費税に当たる付加価値税は最高で25%です。しかし、この間接税の方は所得の低い人ほど負担が重く、格差が広がるという逆進性があるので今よりあげるわけに行きません。

 子どもの貧困が進んでいる日本でそんなことをしたら、よけいに少子化が進むのは目に見えています。

 デンマークは幸福度が高い国として有名ですが、それは、高い税金を取られてもそれが確実に自分たちのために使われているという納得感があるからなのです。

 消費税を上げていく場合には、少なくとも着実な少子化対策・福祉政策を確立していくのとセットではないと無理だし、許すべきではありません。 子どもの貧困率 先進国中ワースト9位 日本より悪いのはルーマニア、米国、ラトビア、ギリシャ・・・

 デンマークの所得税の累進課税率はOECDで最高で、60%を超えています。しかも、この税率は年収約5万5000ドル(約700万円)以上の層に適用されます。

 ところが、日本の所得税は最高でも40%で(平成27年度分以降は45%)、しかも株式取引など各種優遇措置があって、所得が1億円を超えると逆に所得税の実質負担が小さいというとんでもないことになっています。

 まず、所得税・住民税などの直接税の累進税率を上げ、かつ、金持ち優遇政策を見直さないといけないでしょう。

 また、法人税減税のために国の歳入の中で所得税も法人税も全然増えないどころか減少傾向にあり、消費税増税分が全部吸収される結果となってしまっています。

 これでは「福祉と税の一体改革」といっても消費税増税がなんら福祉に役に立ってないことは明らかで、国民の理解を得られるわけがありません。

 法人税をまともに支払っていない大企業はたくさんあります。

 それらの大企業優遇策も見直して財源を作るべきです。

巨大企業の闇 トヨタ(1)「日本が誇る」トヨタ 年間利益が1兆円なのに法人税を払わないこの背信

巨大企業の闇 トヨタ自動車(2) 法人税を払わず消費税の輸出戻し税で大儲けする寄生虫企業

 日本では以上のような高所得者、大企業に対する過度の優遇策が続いたため、富裕層が保有する資産が莫大なものになっています。

 たとえば純資産1億円以上(これは金融資産だけですからね。不動産は含んでません!)の超富裕層が有している金融資産は240兆円以上もあります。

 これにたった1%の資産税をかけるだけで2兆円以上の財源ができるのです。

 なにも、富裕層の財産をひっぺがすというのではありません。

 応分の負担をしてもらい、少子高齢化対策ができれば、日本経済はまた再生して、富裕層はさらに富裕になるのですから納得してもらえるはずです。

 日本経済の今のような尻すぼみよりは、彼らもずっといいはずです。

日本からケイマン諸島に個人投資家が15兆円の証券投資 消費税増税より富裕層に富裕税をかけよう

「21世紀の資本」ピケティ教授も世界第2位の富豪バフェット氏も唱える「所得の再分配」と格差問題の是正

アブラハムウェルスマネジメントがご紹介する「日本の富裕層の資産について」

 日本の少子化を防ぐことは、経済成長を維持すること、福祉を維持すること、地域社会を維持することのために必要不可欠であることは誰もが納得して合意できることです。

 そのためには、デンマークのようにお金の使い方に知恵が入ります。

 そしてお金の得方には発想の転換が入ります。

 なによりも、子どもに対する物の見方、男女の役割分担や働き方など考え方や文化を根本的に見直す必要があります。

 いまだに選択的夫婦別姓制でさえ実現できないようでは少子化対策などできるわけがありません。

 またお金の得方=財源については、所得税・法人税・相続税・資産税・富裕税を上げたり創設したりするという発想には、高所得・富裕層や大企業から抵抗があるでしょう。だから手を付けてこられなかったのです。

 しかし、それをやらねば富裕層も大企業も日本と共倒れです。

 いや、彼らは沈没する日本と言う国から出て行ってしまうでしょう。

 いま、日本の99%に属するわたしたちが決断して、1%の人々を説得すべき時です。

子どもがどんどん少なくなる国なんてほんとに嫌です。

追伸

 日本特有の問題として、日本では事実婚の数や事実婚のカップルが生む子供の数がデンマークやフランスより圧倒的に少ないのです。

 これは法律上の非嫡出子差別に端的に表れているように日本の文化の問題で、これにも取り組まなければなりません。

 また、このように法律婚から生まれる子供が多いことを前提に考えると、まずは男女が結婚できなければ話にならないのですが、日本では結婚したいカップルが少ないわけではなく、経済的な理由から結婚できないカップルが多いのです。

 内閣府の調査によると、30代男性の約30%が非正規雇用です。30代といえば、多くが結婚し、子育てを始める時期ですが、非正規雇用の不安感や低収入で異性との付き合いや結婚に踏み切れない人が多いのです。

 30代後半の男性の未婚率は年々上昇し、現在は35.6%です(総務省「国勢調査」)。未婚の割合は非正規雇用者が高く、正規雇用者の約2倍に上ります。

 いま、安倍政権では「労働市場の自由化」などといって、派遣労働者を増やしたり、解雇をしやすくしたり、残業代をゼロにしたりと、勤労者の生活が不安定になるようなことばかりしていますが、そんなことをしていて少子化対策などと言っていても全くの無駄。

 ブレーキを思いきり踏んで、ハンドブレーキまでかけて、アクセルをふかしているようなもので、絶対に前に進みません。

 いや、むしろギアがバックに入っていると言った方がいいでしょう。

 これからは正規労働者の拡大と全労働者の賃金アップ、また子育てしやすいような労働時間の整備が急務なのです。

子供の数が34年連続減 15歳未満1617万人、増加は東京だけ
2015/5/4 19:37 日本経済新聞  
 総務省が「こどもの日」に合わせて4日発表した4月1日現在の15歳未満の子供の推計人口は、前年より16万人少ない1617万人だった。1982年から34年連続の減少で、比較可能な50年以降の統計で過去最少を更新した。総人口に占める子供の割合も0.1ポイント低下の12.7%で、41年連続で低下した。

 子供が増えたのは東京都だけで、46道府県は前年を下回るか横ばいだった。政府は少子化対策に取り組むが、子供の減少に歯止めがかからない。

 男女別では男子が828万人、女子が788万人だった。3歳ごとに年齢を区切って集計すると「12~14歳」が347万人で最も多く、年齢層が下がるほど少なくなり、「0~2歳」は309万人だった。

 都道府県別(昨年10月1日時点)にみると、子供の数が前年より増えたのは東京(1万4千人増)だけだった。福岡と沖縄は横ばい、44道府県は減った。減少数が最も多かったのは大阪(1万6千人減)。

 人口に占める割合は沖縄(17.5%)が最も高く、滋賀(14.6%)、佐賀(14.2%)が続いた。最も低いのは秋田(10.8%)だった。

0 件のコメント:

コメントを投稿