2015年3月14日土曜日

米軍基地ゲート前での不当拘束問題について質問(速記録) 赤嶺政賢衆院議員

米軍基地ゲート前での不当拘束問題について質問(速記録) 赤嶺政賢衆院議員
2015年3月3日 衆院予算委

○赤嶺委員
 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、二月二十二日の、名護市辺野古への新基地建設に反対して米軍キャンプ・シュワブゲート前で抗議活動を行っていた山城博治さんら二人の県民が、米軍の警備員によって身柄を拘束された問題について、ただしていきたいと思います。

 米軍基地内に正当な理由なく立ち入ったというのがその理由であります。同日午後、二人の身柄は県警に引き渡され、翌二十三日、那覇地検に送致され、その日の夜に二人は釈放されました。

 まず、警察庁に伺いますが、事案の概要と経緯について、具体的な時刻も含めて説明していただけますか。

○髙橋政府参考人
 お答えいたします。

 御質問の事件は、平成二十七年二月二十二日午前九時三分ごろ、日本人の男性二名が正当な理由がないのに米軍キャンプ・シュワブのメーンゲートから基地内に侵入したものであり、午前九時五分ごろ及び六分ごろ、米軍当局が男性二名の身柄をそれぞれ確保しました。

 その後、午前九時三十分ごろ、米軍当局から沖縄県警に身柄を拘束した旨の通知がなされ、午後一時十三分、沖縄県警がその者の引き渡しを受け、同時刻、刑事特別法に基づき緊急逮捕いたしました。沖縄県警は、逮捕後、刑事特別法に基づき、午後五時ごろ、逮捕状を請求し、午後八時三十分ごろ、裁判官から両名の逮捕状が発付されました。

 逮捕した被疑者二名は、翌二十三日午後三時ごろ、沖縄県警が那覇地方検察庁に送致しました。

 なお、同日午後八時ごろ、釈放されたということを承知しております。

○赤嶺委員
 法務省に伺います。

 今の答弁の中で、刑事特別法という法律の名前が出てまいりました。これはどういう法律か説明していただけますか。

○上川国務大臣
 ただいま委員御指摘の刑事特別法についてでございますけれども、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の発効に伴いまして、日本国内及びその付近に配備されますアメリカ合衆国の軍隊に関しまして、刑事上の実体法及び手続法について特別の規定を設ける必要があるということで、昭和二十七年に制定されたものでございます。

 そこで、刑事特別法の概要でございますけれども、第一章におきまして総則が規定されております。そして、第二章におきましては、既存の法令によってはその法益を保護することができない行為についての刑罰規定を設けているところでございます。そして、第三章におきまして刑事手続の特別規定をそれぞれ定めているというものでございます。

○赤嶺委員
 つまり、日本がアメリカに占領されていたその当時、駐留米軍が持っていた権利、権限を、サンフランシスコ講和条約締結後、その後も引き続き保障するためにつくられた法律ということであります。

 基地への侵入、この問題は、刑特法第二条に述べられておりますが、正当な理由なく、米軍の施設・区域で立ち入ることを禁じられた場所に入ることなどを処罰する規定ですが、この規定の対象となるのは故意によるものだけであって、過失は対象にならないというのが法務省の解釈だと思いますが、その点はよろしいでしょうか。

○上川国務大臣
 ただいま委員御指摘の刑事特別法の第二条のことでございますけれども、この条文の中で書き込んでありますのは、故意犯を処罰する規定であるということでございまして、過失犯につきましては処罰はされないというものでございます。

○赤嶺委員
 問題は、二十二日の当日、現場で何があったのかということであります。

 当日は、午後一時から、キャンプ・シュワブゲート前で、国会議員や県会議員、県内各団体の主催で大規模な集会が予定をされておりました。私もその集会に参加するために辺野古に向かっていました。

 山城さんたちが拘束されたという連絡を受け、急遽ゲート前に向かったわけですが、
現場にいた皆さんから拘束当時の状況を伺いましたが、
当日は、朝から、いつものようにゲート前で抗議活動が行われており、
そのときに、現場のリーダーである山城さんは、抗議活動の参加者が基地の中に立ち入ることがないように指示を出しているところだったというんですね。
 基地に入ろうとしていたのではなくて、その逆で、基地を背にして、下がろう、こういう呼びかけを参加者に行っているところでありました。
その様子は、撮影されていた動画でも確認できます。

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沖縄の辺野古集会狙い撃ち? 米軍、後方からつかみかかり、押し倒して逮捕
2015年2月23日
山城議長は米軍敷地内に入らないよう市民らに指示していた
▲突然、敷地内に引きずられ、4時間手錠で拘束され、警察へ
▲18日には新基地容認派の名護市議が敷地内に入っている
https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=104268
(1)拘束直前、市民に下がるよう呼び掛ける沖縄平和運動センターの山城博治議長(中央)。右下につかみかかろうとする米軍側警備員の手が見える=22日午前9時4分19秒、名護市辺野古・米軍キャンプ・シュワブのゲート(浦崎直己撮影)
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米軍基地側から撮影した現場の動画(流出映像)
(当ブログのコメント)米軍基地撮影の流出映像を見ると、山城議長は、基地境界線がどこか、境界線を越えてはいけない事を確認した上で境界線近くにいたようですね。それからすると、逮捕される事も想定内だったと思います。起こるべくして起こった逮捕劇ではないかとも思います。基地移設反対運動にも挑発行為があるので、まだ、民主主義の力をフルに発揮できていないのではないかと考えます。

辺野古動画流出 在沖海兵隊高官を更迭
2015年3月20日
 沖縄平和運動センターの山城博治議長が2月22日、米軍キャンプ・シュワブ内に侵入したとして米軍に拘束された場面が動画投稿サイトで公開された問題で、
動画の流出元が在沖米海兵隊のロバート・エルドリッジ政務外交部次長だったことが分かった。
19日、政府関係者が明らかにした。
 政府関係者によると、エルドリッジ氏は流出の責任を問われ更迭された。
 これまで、海兵隊報道部は本紙の取材に
「(流出した者は)内部処分を既に取った」
と説明しているが、
国防総省の規則で個人名の公表などを禁じているため詳細は明らかにしていない。
 映像には抗議活動をする山城議長や、取材する記者らが映っており動画サイト「ユーチューブ」に投稿された。
(当ブログのコメント)
 アメリカ軍の所持する動画の流出はアメリカ軍の軍規に違反しているので、沖縄駐留のアメリカ軍の高官が動画を流出した責任を問われ更迭されたようです。
 動画流出で誰が一番助かったのかを考えてみます。
動画の流出で一番助かったのは、沖縄でアメリカ軍の下働きをしている米軍基地の日本人従業員の名誉だと思います。
このアメリカ軍高官は、部下の日本人従業員の名誉を守るため自分の首を差し出したと考えられます。
沖縄県に対する安倍政権の酷い仕打ちとは反対に、アメリカ軍の上官(アメリカ人)の方が沖縄を公平に人間扱いしています。
このことには、アメリカの民主主義の強さが表れていると考えます。
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 ところが、そこにいきなり、後ろの方から米軍の警備員が駆け寄ってきて、山城さんを羽交い締めにして取り押さえ、両足を抱えて基地の中に引きずり込んだ、
それをとめようとしたもう一人の男性も拘束されたというものであります。
拘束したのは、米軍基地の従業員である日本人警備員でした。
米軍の指揮のもとで基地を警備することを職務としています。

 その後、山城さんらは米兵に手錠をかけられ、県警に引き渡されるまで約四時間、基地内に拘束をされました。米軍からは拘束理由の説明さえありませんでした。

 総理に伺いますが、余りにも不当な米軍による身柄拘束ではありませんか。

○安倍内閣総理大臣
 本件は、平成二十七年二月二十二日午前、米軍キャンプ・シュワブの敷地内に日本人の男性二名が不法に侵入し、米軍側に身柄を確保されたもので、その後、日米地位協定の実施に伴う刑事特別法に基づき、同日午後、沖縄県警が身柄の引き渡しを受け、逮捕したものと承知をしています。

 米軍は、日米地位協定に基づき、施設・区域の秩序や安全の維持を確保するための必要な措置をとることが認められており、その観点から、侵入者の身柄を確保することも認められていると承知をしております。

 これ以上の詳細につきましては、まさに現在捜査中であることから、コメントは控えさせていただきたいと思いますが、いずれにせよ、基本的に、現在、法と証拠に基づいて捜査が行われているもの、このように承知をしております。

○赤嶺委員
 逮捕された現場のリーダーである山城さんは、基地の中に入らないようにという指揮をとっている最中に身柄を拘束されたわけですね。

 現地での抗議活動や集会は、政府の基地建設に反対する多くの県民に支えられて行われているものです。何か特別な人の集まりということではなくて、普通の県民が、あの辺野古の新基地建設をとめなければということで、何かしたい、こういう気持ちで辺野古のキャンプ・シュワブゲート前に駆けつけております。行政と住民が協力して、送迎バスを出している自治体もあります。

 海外のメディアもその現場を取材しております。

 イギリスの経済誌エコノミストも、新基地建設問題を取り上げた記事の中で、極端な過激派はほとんどおらず、市民の中には元公務員や教員、大学教員らの姿もあると伝えています。

 沖縄では、キャンプ・シュワブゲート前での抗議集会はごく普通の光景であります。現地での集会もこれまでに何度も開かれてきました。

 そもそも、集会、結社の自由、表現の自由は憲法に保障された国民の権利であります。憲法に保障された抗議活動を米軍が直接出てきて監視し、参加者の身柄を拘束する、なぜそういうことが許されるんですか、総理。

○安倍内閣総理大臣
 この事案については先ほど述べたとおりでございますが、いずれにせよ、今御指摘があった、憲法が保障する表現の自由や集会、結社の自由を尊重すべきであることは言うまでもないわけであります。

同時に、こうした行為は、法令を遵守する形で行われるべきものと考えております。

○赤嶺委員
 抗議活動は基地の中で行われていたわけではありません。参加者に対して基地の中に立ち入らないように制止していた山城さんを、基地と国道の境界である黄色い線を踏み越えたところを狙って、ここぞとばかりに拘束したものであります。どこにも故意という要件は成り立ちません。

 大規模な集会が開かれるのを前に、現場のリーダーを狙い撃ちにした不当逮捕だったのではありませんか。憲法に保障された抗議活動に対する不当な介入ではありませんか。いかがですか。

○山谷国務大臣
 米軍当局による身柄拘束に関しては、国家公安委員長としてお答えする立場にはございませんが、普天間飛行場代替移設工事の抗議行動に対しては、沖縄県警察において、個人の生命、身体、財産の保護と公共の安全と秩序の維持という警察の責務に照らして、必要な措置を講じているものと承知しております。

 今後も引き続き、沖縄県警察において、現場における関係者の安全等を確保するため、法令にのっとり、必要な警察措置を講じていくものと認識しております。

○赤嶺委員
 私が、こういう抗議活動に対する不当な介入ではないのか、このようにあえて指摘をしているのは、その前ぶれ、前兆があったからです。

 一月の上旬、アメリカの国防総省の高官が来日し、辺野古の現場を視察したことが報じられています。エステベス国防次官代理、バトー国防次官補らであります。在沖米軍幹部と抗議活動の排除に向けた対策を協議し、日本側にも協力を要請したと伝えられていますが、アメリカ側からどういう要請を受けたんですか。

○岸田国務大臣
 現場の抗議活動に関しまして、アメリカから何か要請を受けたかという御質問ですが、キャンプ・シュワブのゲート付近における抗議活動については、国道上に許可なくテントが設置されており、その一部が米軍施設・区域を侵害している状況にあります。本件については、米軍からも、当該テントの設置により、キャンプ・シュワブ内の安全が阻害されているとして、撤去の要請があったところです。

 この問題については、政府として、道路管理及び米軍施設・区域の管理の観点から適切に対応していく考えであり、沖縄総合事務局北部国道事務所及び沖縄防衛局から、当該テントの設置者に対し、撤去を行うよう指導や警告を実施していると承知をしております。

 このように、累次にわたり、米軍から施設・区域の安全に関する要請があったと承知をしております。

○赤嶺委員
 国防次官や国防次官補が来沖してキャンプ・シュワブを見るまでは、そのころもテントはありました、そのテントについて、これまで政府が撤去を強硬に求めることはありませんでした。ところが、今外務大臣がおっしゃったように、かなり強硬な撤去の行動を行っている。今、外務大臣は、テントの撤去について、米側からの要請があったということも認められました。

 別のゲートでは、基地との境界を示す黄色い線が引き直されました。少し奥まったところに当時の沖縄開発庁が設置した境界を示すくいがありましたが、その場所が突然間違っているということで、黄色い線が前の方に寄ってきたわけですね。

 これも米軍からの要請を受けたものだったのではありませんか。第三ゲートの点です。

○中島政府参考人
 お答え申し上げます。

 今、先生御指摘のラインの件でございますけれども、キャンプ・シュワブに隣接いたします辺野古弾薬庫地区におきまして、在沖縄の米海兵隊から沖縄防衛局に対しまして、警備上の観点から施設・区域の境界線を確認したいという旨の依頼がございました。

 これを受けまして、沖縄防衛局、沖縄総合事務局北部国道事務所及び在沖の米海兵隊の三者で現地を確認いたしましたところ、施設・区域の内側に国道の境界くいが設置されていることが確認された次第でございます。

 この境界くいにつきましては、誤った箇所に設置されているということで、今般、北部国道事務所におきまして撤去を行おうとしたものでありまして、また、在沖の米海兵隊におきましては、警備上の観点から、施設・区域内であることをラインで明示しようとしたものと承知しております。

○赤嶺委員
 これも米軍の要請があったと。その現場は、海上での工事がよく見える場所なんですね。抗議の皆さんも、そこに集まって抗議をしておりました。

 それだけではないんです。二月上旬には、抗議活動の最中に、米兵が基地内の建物から出てきて、拳銃を抜き、銃口を上に向けながらフェンス越しに歩くところが目撃をされました。発砲するのではないかと現場には危機感が走りました。政府は、そういう事実を把握しておりますか。

○中谷国務大臣
 御指摘の米兵の行動については、報道によって承知をしておりますが、防衛省としては、事実関係を承知していないために、お答えすることは困難でございます。

 また、米軍による活動の詳細につきましては、米側として運用上の理由から公にできないという立場も承知しておりますが、米軍が施設・区域内において警備活動を行うことや、所要の訓練を通じて施設・区域の管理、部隊の即応態勢を維持するということは、日米安全保障条約の目的達成のために不可欠なものと認識をいたしております。

○赤嶺委員
 大臣、中谷さん、中谷防衛大臣、報道で知っているんですから、報道には写真が出ていましたよね、銃口を上に向けているという。ああいうことを、県民が集まっているところから見える場所で、しかもそのときに大変怖かったと恐怖心を感じさせるようなものが、これが警備ですかね。基地の警備だったら何をやってもいいんですか。いかがですか。

○中谷国務大臣
 防衛省としましては、その事実関係を承知していないために、お答えすることは困難でございます。

○赤嶺委員
 新聞見て、写真も見て、事実関係を確認していない、こんな政府がどこにありますか。

 自国民が大変恐怖心を抱いているんですよ。何で事実を確認しないんですか。

○中谷国務大臣
 米軍による活動の詳細につきましては、米側として運用上の理由から公にできないという立場であるものと私は承知しております。

○赤嶺委員
 全然納得できる答弁ではありませんが、山城さんらお二人が拘束された当時、現場の警備体制にも変化がありました。

 通常、現場では、日本の警察が前面に立って、その後方に米軍の警備員が控えております。ところが、その日は違ったんですね。米軍の警備員が前面に立っておりました。なぜ、その日に限って警察は前面に立たなかったんですか。

○髙橋政府参考人
 お答え申し上げます。

 その時々の警備情勢に応じて、適切な体制で警備を実施しております。

○赤嶺委員
 その日は、午後からは県民集会もゲート前で開かれます。たくさんのバスで参加者もやってまいります。そういう日だからこそ安全の体制には気をつけるというのが、日本の警察の役割ではありませんか。

 それを、その日に限って米軍の軍警が前面に出てきていた、こういうことが、しかも、軍警が、軍の警備員が山城さんたちを後ろから捕まえて、両足を、本当に動物でも引っ張るかのように基地内に引きずり込んでいく。その様子を日本の警察は三台のカメラで撮影している場面も、動画で出ております。

 やはり今回の事件というのは、憲法に保障された抗議活動への不当な介入だったのではないかという疑念は深まるばかりであります。国家権力を使って、米軍新基地建設に反対するオール沖縄を押し潰そうとすることは、絶対に許されません。

 そもそも、日米地位協定の前身である日米行政協定は、先ほどもありましたように、一九五二年四月二十八日、サンフランシスコ講和条約、旧安保条約と同時に発効しました。

 アメリカは、サンフランシスコ講和条約第三条によって、沖縄、奄美、小笠原を本土から切り離し、米軍の直接占領下に置き続けました。同時に、日米安保条約によって、日本の主権回復後も米軍の駐留を認めさせました。その駐留米軍の特権を定めたのが日米行政協定でありました。

 その日米行政協定については、国会の承認は全く受けておりません。米軍基地内では米軍が必要な権利、権力、権能を有すると規定しておりました。その米軍基地への立ち入りなどを日本の警察に取り締まらせるためにつくらせたのが刑事特別法です。軍事優先の法律であります。

 きょう、一連の経過を聞いていても、米軍から指図をされ、そして米軍がやるがまま、日本国民の安全についても知らぬふり、その警察の対応にも業を煮やした米軍が、今度は直接抗議活動のリーダーの拘束に乗り出してきた、そういうことではないでしょうか。

 私、こういう、米軍が前面に出てきて、それから県民の抗議集会にもいろいろな干渉、抑圧が強まっているときだからこそ、ちょっと思い出したことがあります。

 おわかりかどうか。一九六〇年代のことですが、米軍占領下の沖縄で昆布土地闘争という闘いがありました。総理は、昆布の土地闘争ということで、どこかでお聞きになったことはありますか。いや、あるかないかだけです。

○安倍内閣総理大臣
 恐縮でございますが、昆布土地闘争、私は寡聞にして存じ上げません。

○赤嶺委員
 ホンブと聞こえたなら申しわけありませんが、昆布ですね。

 今、うるま市の昆布、ここは、嘉手納基地の爆音に苦しめられている地域でもあります。

 一九六五年に、当時は具志川村、今はうるま市ですが、昆布という地域で、米軍が農地約二万一千坪の強制接収を一方的に通告しました。ベトナム戦争の激化に伴って、天願桟橋という米軍基地で軍事物資の集積所を拡充するのが目的でありました。

 土地を奪われては生活ができないと、住民は、当時、闘争小屋をつくって反対運動に立ち上がりました。米軍がどんなことをしてきても絶対に手を上げてはいけない、非暴力で反対運動を貫くことを肝に銘じていたといいます。

 米軍は、そのときも露骨に反対運動を弾圧しようといたしました。三十人ほどの米兵が突然あらわれて、闘争小屋目がけて石を投げつけることもありました。闘争小屋が放火され、全焼することもありました。それでも住民は屈せず、コンクリート建てで闘争小屋を再建して、闘いを続けました。住民の粘り強い闘いで、七一年、米軍は計画を断念いたしました。

 これが昆布の土地闘争と言われるものであります。

 そういう経験を沖縄県民は経ているんですよ。

 昔の話か。違うんですよ。今、そういう沖縄県民の、土地取り上げに反対してきた、新たな基地建設に反対してきた闘いの歴史が刻み込まれているのが、辺野古のキャンプ・シュワブゲート前での抗議活動であります。

 沖縄の戦後史に刻まれた、そして県民の尊厳を回復するための数々の闘いを引き継ぐものであります。米軍基地に奪われた県民の土地を県民の手に取り戻す闘いであります。踏み潰すことなど絶対できないということを強く申し上げておきたいと思います。

 それで、少し話をかえまして、ことしは戦後七十年の節目の年でありますが、安倍政権は、戦後の日本の外交・安全保障政策を大転換し、憲法改正に踏み出そうとしております。

 しかし、総理も、六月二十三日、沖縄慰霊の日には沖縄の式典に参加されて、よく雰囲気を御存じだと思いますが、沖縄県民にとって、憲法は、苛烈な沖縄戦、その後の米軍占領下での無権利状態を経て、一九七二年の本土復帰でかち取ったものであります。そこに込められた県民の思い、総理は総理としての認識の仕方があると思いますが、総理の認識はいかがですか。

○安倍内閣総理大臣
 さきの大戦において唯一の地上戦が行われた沖縄においては、たくさんの県民の方々がとうとい命を落とされたわけでございます。二度と戦争は嫌だ、この思い、当然のことでございまして、それは日本国民に共有するものだろうと思います。その中で、ひたすら我が国も平和国家としての歩みを続けてきたわけでございます。

 その中で、沖縄に現在、多くの米軍基地が集中をしているのも事実でございまして、その中で、我々は、沖縄の負担軽減のためにできることをしっかりと前に進めていきたい、こう考えている次第でございます。

○赤嶺委員
 2007年に沖縄戦の教科書記述への検定意見がつきまして、それは沖縄戦の歴史をゆがめるものでありました。
教科書検定意見撤回を求めて約11万の人々が沖縄で大集会に集いました。

 そのときにアピールが出されております。そのアピールを少しばかり御紹介したいと思います。

 砲弾の豪雨の中へ放り出され
 自決せよと強いられ
 死んでいった沖縄人の魂は
 怒りをもって再びこの島の上を
 さまよっている
 いまだ砲弾が埋まる沖縄の野山に
 拾われない死者の骨が散らばる
 泥にまみれて死んだ魂を
 正義の戦争のために殉じたと
 偽りをいうなかれ
 歴史の真実をそのまま
 次の世代へ伝えることが
 日本を正しく歩ましめる
 歪められた教科書は
 再び戦争と破壊へと向かう
 沖縄戦の死者の怒りの声が
 聞こえないか
 大和の政治家・文科省には届かないか
 届かなければ 聞こえなければ
 生きている私たちが声を一つにして
 押し上げ 訴えよう

 これが戦後七十年を迎えた県民の気持ちであることを紹介して、質問を終わらせていただきます。

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