2014年11月16日日曜日

Copy:増える生活困窮家庭、子どもの貧困 見過ごすと?

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http://sightfree.blogspot.jp/2012/12/blog-post.html⇒母子家庭の原因は貧困

増える生活困窮家庭、子どもの貧困 見過ごすと?
2014/6/10付

2007年2月13日、日本共産党の志位和夫委員長が、衆院予算委員会での総括質疑で、子どもの中での貧困の広がりを指摘し、「成長の可能性をはばむだけでなく、貧困が次世代に引き継がれる危険をつくりだしている。日本の未来にとって重大な問題だ」と、安倍晋三首相を問いただした。
志位氏は、経済協力開発機構(OECD)の報告書をもとに、平均的所得の半分(貧困ライン)以下の家庭で暮らす子どもの割合が、OECD諸国平均を上回る 14・3%にのぼると指摘。とくに母子家庭・ひとり親家庭では貧困ライン以下の家庭で暮らす子どもの割合が57・9%にものぼり、平均の三倍近くになるこ とを明らかにした。
 安倍首相は「貧困が再生産される日本にしてはいけない」と答弁した。
 志位氏は、子どもの貧困に向き合う政治の責任として、予算のあり方と最低賃金の問題を取り上げた。
 志位氏は「税制と社会保障で所得の再分配をおこなうことが予算の役目だ」と指摘。ところが、日本では税制と社会保障によっても子どもの貧困率が逆に1・4%高まるという逆立ちぶりを浮き彫りにしたグラフを突きつけた。
 志位氏は、所得の低い母子家庭に対して子どもが十八歳になるまで支給されている児童扶養手当の大幅削減を政府がすすめようとしていることを批判し、
生活保護を受けている母子家庭への母子加算の段階的廃止を政府がすすめようとしていることを批判し、
「母子家庭の『命綱』を二本ともたち切ろうとする冷酷な政治だ。
中止を強く求める」と要求した。
 母子加算の段階的廃止について、安倍首相は「生活保護を受給している世帯と、していない世帯との公平性をみないといけない」とのべた。志位氏は「懸命に生きている母子家庭から母子加算を取り上げるのではなく、必死に働いても生活保護水準以下の暮らししかできない母子家庭の水準を引き上げるために心を砕く ことこそ、本当の公平性だ」と厳しく批判した。
■最低賃金の抜本的引き上げを
 さらに志位氏は、貧困の広がりの土台に世界でも最低水準の最低賃金があるとして、「最低賃金で働いても貧困にならない社会を目標にし、最低賃金を労働者の平均的所得の五割にすることを目標に掲げるべきだ」と求めた。
 安倍首相は「中小企業を中心に事業経営が圧迫され、雇用が失われる可能性が高い」と答弁。
志位氏は「中小企業の経営を圧迫するというなら、無法な下請けいじめをやめさせることこそ必要だ。
最低賃金の抜本引き上げを中小企業の経営を応援する政治と同時並行ですすめるべきだ」とのべた。
その上で、「貧困と格差を土台からただしていくために、最低賃金を抜本的に引き上げ、全国一律の制度とすることを強く求める」と強調した。
(当ブログのコメント)この問題提起に対して、安倍政権は、問題を無視し7年間何ら対応策を考えないで、ずうずうしくも第2次安倍政権に就いたようですね。


 「文具などを買えない子どもが増えているのよ。放っておけないわ」。ボランティアで無料学習会に協力している主婦の話に、探偵、松田章司は首をかしげた。「今の社会保障では子どもを貧困から守れないのかな。どうすればいいのだろう」


■教育で不利、自立に影響も
 章司が調べると、経済的に困窮する家庭に学用品代などを補助する「就学援助制度」の支給対象者は、2012年度に小中学生の15.64%となり、調査開始以来17年連続で上昇していた。

 「でも援助制度があれば安心ですね」。章司が、小中学生向けに無料の学習会などを開くNPO法人キッズドアを訪ねると、理事長の渡辺由美子さんは「そんなことはありません。学校の教育力が落ちており、都市部では多くの子どもが塾に通っています。親が塾に通わせる余裕がない場合、その後の進学や就労に差がついてしまいます」。

 経済協力開発機構(OECD) によると日本は学校にかかるお金の私費負担割合が3割と平均より高く、塾などを入れると家庭の負担はさらに膨らむ。文部科学省の調査では、学力テストの結 果や卒業後進路に親の年収が影響することが分かっている。「生活が困窮している親には学習習慣を身につけさせる余裕がありません。貧困家庭に生まれた子ど もが貧困に陥る『貧困の連鎖』は断ち切る必要があります」と渡辺さん。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO72504490Q4A610C1TJP001/


■投資通じ「負の連鎖」断つ
 さらに調べると、インターネット上で受けられる無料塾も増えていることが分かった。NPO法人manaveeでは全国の大学生などのボランティア講師が、無料で中高生向けに 受験対策の講義映像を配信している。代表の手嶋毅志さん(19)は「地方には適当な塾がなかったり料金が高くて行けなかったりします。地域間格差、経済格 差を解消したいという思いで講師になる人が多いです」と話す。

 章司は背景を探ろうと、みずほ情報総研を訪ねた。主席研究員の藤森克彦さん(48)は、貧困層が増えていることを示す「相対的貧困率」のグラフを 出し、「企業が男性の正社員を終身雇用し、家族を扶養する従来のあり方が崩れています」と解説した。子どもの貧困率上昇の理由は「母子家庭が増えているこ とが一因です。シングルマザーの8割は働いていますが、非正規労働が中心で家計が苦しいのです」と藤森さん。

------参考資料はじめ-------------
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/03.pdf
母子世帯の稼働所得は年間179万円(2013年調査)

母子家庭の就業状況(2011年)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/shien.pdf
(当ブログのコメント)パート・アルバイトが正規就業の代替えになる程広く利用されることが無いようにする規定を定めた方がよさそうですね。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/03.pdf
http://www.dir.co.jp/research/report/overseas/europe/20140318_008337.pdf

http://www.murc.jp/publicity/press_release/press_130327.pdf

統計のグラフを見ますと、離婚数と世の中の景気は連動しているようです。景気が良い時は離婚数が減り、景気が悪くなると離婚数は増えるようです。

母子家庭の原因の離婚の原因は貧困

http://sightfree.blogspot.jp/2012/10/1995.html
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon10/01.html
 先進国の北欧をはじめとするヨーロッパでは、大学の授業料が無料というだけでなく、大学生に生活費が支給されます。つまり、大学に行きたい人は誰でも生活が保障されて通学することができるのです。 

 それに対して、最近の日本では:
(1)安倍晋三政権は2013年から、貧困層への生活保護基準引き下げ(保護費削減)を実施。
(2)来年度(2015年)は子育て給付金中止、低所得者向けも圧縮ですって。 
(3)「無料塾」継続困難に 来年度(2015年)から国の補助減
琉球新報 9月5日(金)配信
(4)生活保護世帯の学習支援事業 2015年度から国庫補助半減。
(5)防衛費、補正予算倍に 「経済対策」名目に拡充(2015年1月8日)

 
 アメリカでは、「徴兵制はいらない。貧困があるから」と言われていて、まさに国家規模の「貧困ビジネス」が戦争になっているわけです。 


朝日新聞デジタル:GDP、年率1.6%減 7~9月期、景気低迷鮮明に
2014年11月17日
(実質成長率が、前期(4~6月期)より0・4%減)

http://digital.asahi.com/articles/ASGCJ63F8GCJULFA00Q.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASGCJ63F8GCJULFA00Q
GDP統計(4~6月期)によると日本経済は年率換算で6.8%縮小。これは、3年以上前に東北地方を襲った地震と津波以来最悪の景気縮小を意味する。
(2014年8月13日)

(4~6月期の国内総生産(GDP)第1次速報値では、GDPの6割を占める家計消費が5・2%減(年率19・2%減)と、戦後最大級の落ち込み
(英フィナンシャル・タイムズ8月14日付社説)


アベノミクス失敗すれば2016年に政権交代あり得る? 米誌指摘(2014年8月18日)

◆円安で流出する日本の所得

円安の進行は、経済成長の観点からは成長率を押し下げる方向に働く。


◆米財務長官も日本の再増税に警告

 日本の消費再増税推進派は「予定通り増税を実施しないと海外から“日本売り”を浴びる」と警告しているが、これは認識不足。消費税再増税に関しては米国 からも慎重論が強まっている。ルー米財務長官が10日、IMFの諮問機関である国際通貨金融委員会(IMFC)での声明で、日本経済について「今年と来年は低迷が続く」と指摘
 「財政再建のペースを慎重に調整し、成長を促す構造改革を実行すべきだ」と主張したのだ。これは明らかに経済が低迷する中、消費増税のペースが速過ぎると苦言を呈したものだ。ニューヨークタイムズも社説で慎重論を展開している。


(当ブログのコメント)貧困の拡大が消費を低迷させ、日本経済全体を悪化させているのではないか。
------参考資料おわり-------------
 

 「無料の学習会や塾が増えれば格差を解消できるのでは」。章司が事務所に戻って報告すると、所長は「そもそも学校の勉強では不十分なことが問題だろう」。改めてOECD調査を見ると、日本の政府支出に占める教育支出は32カ国中31位だった。

  「でも、子どものいない人には関係ない話にも思えるなあ」。章司がつぶやくと、「生まれた地域や家庭環境にかかわらず、能力を生かし経済的自立ができる人を育てることは国づくりの根幹ですよ」と声がした。振り向くと、NPO法人、Teach For Japanの代表理事、松田悠介さん(30)だった。

 同団体は米国で始まった取り組みの日本版で、トップ大学の卒業生や企業で活躍した人材を、課題の多い地域の学校に教員として送り込む。「教育段階のつまずきをなくし、単価が安い海外の労働力やロボットに代替されない人材を育てることは日本にとって必要です」と松田さん。

------引用はじめ-------------
「無料塾」継続困難に 来年度から国の補助減
琉球新報 9月5日(金)配信

 県内11市町で実施されている生活保護世帯の児童・生徒への無料塾が来年度以降は事業を縮小したり、実施できなくなる懸念が自治体関係者の間で広がっている。

国の制度変更で補助率が全額補助から2分の1補助に引き下げられ、自治体負担が増えるためだ。
関係者は「(貧困の連鎖を断ち切る)事業として着実に効果を上げている。
続けるためにも国が財源確保をすべきだ」と指摘する。

 琉球新報は事業を実施している県内7市と4町を所管する県に、来年度の事業の見通しを質問した。

名護市が補助率の低下を理由に「縮小せざるを得ない」と回答したほか、
6市と県は予算編成作業がこれからのため「検討中」「実施に向けて調整」などとしたが、事業実施には「財源確保が課題」などと答えた。
出典:ヤフーニュース(琉球新報)

-----引用おわり--------------

 国立社会保障・人口問題研究所の社会保障応用分析研究部長、阿部彩さんに聞くと「労働力人口が減る中で、貧困に陥って能力を発揮できない子どもが多ければ国の財政にもマイナスです」。

 18歳の若者に職業訓練を受けさせるなど500万円ほど投資をしても、正社員として就労できた場合、定年まで働けば5千万円程度(非正規では 2500万円前後)の税・社会保険料が社会に還元される。一方、放置して生活保護に陥った場合、約5千万円の費用がかかる。職業訓練による就労が成功する とは限らないものの、費用対効果は1億円近いともいえる。

 海外では貧困の増加は治安の悪化や犯罪の増加につながるとして、社会的コストの試算に入れることもあるという。「米国の州別データでは貧困層が増加すると経済成長が鈍化するという結果も出ています」と阿部さん。

 「実は日本の再分配政策は非効率で、貧困解消に力不足です」。一橋大学教授の小塩隆士さん(53)も会話に参加した。社会保障の多くが幅広い高齢者向けで、本当に困っている高齢者や若者、子どもに向かっていないという。「再分配による相対的貧困率の改善率は50%で、OECD30カ国中25位とい う成績の悪さです」と小塩さん。

------引用はじめ-------------
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11370985764.html
(注意)日本の社会保障は高齢者にかたよっているのが問題だという議論がありますが、これも間違っています。上のグラフにあるように、社会保障給付のほとんどの給付 先である高齢者であっても再分配後に貧困率は下がってはいますが、日本の貧困削減効果は他国に比べて小さく、高齢者の貧困率もOECD25カ国の中で3番 目に日本は高いのです。
-----引用おわり--------------

 「子どもに投資する期間は一時的で人数も減っているので大きな費用にはなりません。しかも、就学前の子どもへの投資効果は高いとされています」と再び、阿部さん。13年に産まれた子どもの数は過去最少を更新。政府は出生率の引き上げ目標を立てようとしていた が、「現金給付で家庭を安定させて貧困層の子どもたちを引き上げるほうが、政策として取り組みやすいと思います」と阿部さん。

 章司が事務所で報告を終えると、三毛猫のミケが子猫を連れてきた。「将来、探偵猫に役立つかも」と章司。所長は「若手探偵よりこっちに投資するか」とニヤリ。
◇            ◇
■家庭養護の役割大きく
 「貧困の連鎖」は、保護者と暮らせない事情がある子どもたちの間ではさらに深刻だ。世界の人権問題に取り組むNGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)によると、日本では虐待から保護されたり親と死別したりした子どもの9割近い3万4千人(2013年)が、乳児院や児童養護施設などで暮らす。

 HRW日本代表の土井香苗さんは「海外に比べ養子縁組や里親制度で家庭に引き取られる割合が極端に少ない。施設では虐待やいじめの問題も指摘され る場合がある」と話す。子どもたちは18歳で自立を目指すが、保証人を得づらく、貧困に陥ったり、その子どもがまた施設に入ったりする事例も多いという。

 土井さんは「施設養護には0~18歳の間で1人1億円程度かかるといわれる。国の費用面でも里親の方が少なく、養子ではほとんどかからない。家庭養護は本人にも財政にも好影響をもたらすはず」と指摘する。

  養子縁組に詳しい東京大学研究員の野辺陽子さんは「子どもを授からなかった夫婦など里子や養子を受け入れたい家庭があっても、あっせんの条件が厳しく実現 しないことも多い」と話す。子どもに障害がある場合など、受け入れる家庭の側の心の準備が整っていないこともあるという。野辺さんは「受け入れ後も家庭を 継続的に支援をしていく必要がある」と強調する。
(井上円佳)
[日本経済新聞朝刊2014年6月10日付]


2014.04.13
日本の子どもの6人に1人が貧困状態。パート月収4万円の母子家庭も…

  子どもの6人に1人が貧困状態にある。

 そう聞いても、多くの人はイメージができないのではないでしょうか。

 学校給食だけが唯一の食事だという小学生。一家で夜逃げをせざるをえなくなり、2年間、車上生活で勉強が大幅に遅れてしまった中学生。家庭崩壊から10代でホームレス生活を送った男性……。

 そんな自らの意思とはまったく無関係に貧困状態に置かれた子どもたちの現状が、『チャイルド・プア 社会を蝕む子どもの貧困』(TOブックス)では描かれます。

 本書は、2012年10月19日に放送され、大反響を呼んだNHKの特報首都圏「チャイルド・プア ~急増 苦しむ子どもたち~」を書籍化したもので、著者は同番組を担当したNHK報道番組ディレクター・新井直之氏。

「子どもの貧困は見ようとしないと見えない」「子どもの貧困を隠しているのは他ならぬ、大人なのではないか」――そんな問題意識から取材を続けた新井氏に話を聞きました。私たちが見逃しているものは、何なのでしょうか?

――そもそも、新井さんが子どもの貧困についての取材を始めたきっかけから教えてください。

 朝のニュース番組を担当していた2010年に、経済的に厳しい家庭の子どもの学習支援をするNPOが増えているという新聞記事を目にして、複数の団体を取材したのがきっかけでした。

 私は当初、こうしたNPOが増えている理由について、不況で失業者や生活保護の受給者も増えているから、塾に行かせるお金がない家庭の親がNPOの無料の学習教室を利用しているのだろう、という程度に考えていました。

 しかし、現場に足を運んでみると、経済的な厳しさ以上に、子どもたちが劣悪な家庭環境に置かれているケースが多いことが見えてきました。

 例えば、親による虐待やネグレクト(育児放棄)を受けている。あるいは、親が精神疾患を抱えていたり、ギャンブルやお酒に依存していたりして、家庭が崩壊しているケースなどが少なくありませんでした。

 このとき私は初めて、貧困が子どもに与える影響の大きさを知ったのです。

「貧しい家庭で育っても、努力して勉強すればそこから抜け出せるはずだ」というのはもはや幻想かもしれない。貧しい家庭に育つ子どもには努力する土台すら与えられていないのではないか。

 食事も満足に与えられなかったり、母子家庭で自分が幼い弟や妹の世話をしなければならなかったり、親から日々暴力を受けていたりしていれば、そもそも勉強の意欲なんて湧くわけがありません。

 これはいったいどういうことだろうと調べていくうちに、「子どもの貧困」という言葉に出会い、相対的貧困率では、当時、日本の子どもの7人に1人が貧困状態(厚生労働省2010年公表)であるということを初めて知ったのです。

――相対的貧困率というのは、「社会の標準的な所得の半分以下の所得しかない世帯」のことで、

額でいうと、「2人世帯であれば177万 円、
3人世帯で217万円、4人世帯で250万円を下回る世帯」なんですね。
2010年発表のデータでは「7人に1人」でしたが、
翌年7月に出された最新 データで「6人に1人」
(子どもの相対的貧困率15.7%、実数にして約232万人)
ということで、貧困に陥る子どもが急速に増えています。

 国民生活基礎調査によると、もともと日本の社会の中で一番貧困となる割合が大きいのは高齢者です。

しかし、1990年代に入ってから、子どもの貧困率は大きく上昇していて、その上昇率は他のどの年齢層よりも高くなっています。
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/toukei/h25.html

http://sightfree.blogspot.jp/2012/10/1995.html

http://www.murc.jp/publicity/press_release/press_130327.pdf
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Xlsdl.do?sinfid=000026271631
厚生労働省の毎月勤労統計調査の統計表一覧、季節調整済指数及び増減率11(実質賃金 季節調整済指数及び増減率、現金給与総額(5人以上))から(1月-3月)データを抽出

http://www.stat.go.jp/data/gousei/soku10/zuhyou/1s.xls
総務省統計局家計消費指数 結果表(平成22年基準)の、総世帯の家計消費指数のデータから、実質家計消費指数を抽出

2015年3月6日:ふつうは業績回復が先行し、その後に人件費は増加していく。ところが、現状ではそうなっていない。

2015年6月8日:安倍政権はこれでも派遣法を改悪するのか?派遣労働で貧困にあえぐ”普通の女性たち” 
 http://www.jil.go.jp/press/documents/20150630.pdf

 その理由については、私は研究者でないのではっきりした理由はわかりません。ただ、子どもの貧困の研究者、国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩さんは 著書『子どもの貧困』(岩波新書)の中で、「この国の社会保障制度からの給付が高齢者に極端に偏っていることと無関係ではない」と述べています。

http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11370985764.html
(注意)日本の社会保障は高齢者にかたよっているのが問題だという議論がありますが、これも間違っています。上のグラフにあるように、社会保障給付のほとんどの給付先である高齢者であっても再分配後に貧困率は下がってはいますが、日本の貧困削減効果は他国に比べて小さく、高齢者の貧困率もOECD25カ国の中で3番目に日本は高いのです。 


 言えることがあるとすれば、近年、格差や貧困がますます広がる中で、そのしわ寄せを最も敏感に受けているのは、子どもたちだということでしょうか。

――『チャイルド・プア』第一章に登場する、パート収入4万円、生活保護と児童手当で2人の子どもを育てる朋美さん(仮名)のお話は、シングルマザーが置かれている現状を端的に示しています。母子世帯での母自身の平均年間就労収入は 181 万円。しかも、約8割の人が仕事をしていての数字です。これを見て、「フルタイムで働けばいい」という人もいると思いますが、話はそんなに単純ではない、 ということがよくわかりました。

 就労しているひとり親世帯の貧困率は、米国が31・1%、ドイツ23・8%、OECD平均も20・9%と、それぞれ大幅に下がっています。就労すれば所得も増えるため、貧困から抜け出すのが自然な流れです。ところが日本は50・9%と逆に上昇しています。日本のひとり親世帯は、働いても貧困という例のない状況です。

 日本の母子世帯の貧困率が国際的に見ても際立って高く、有効な対策が未だに打たれていない背景のひとつには、シングルマザーの方々への無理解があるのかもしれません。

 豊かなはずの現代の日本で、所得が低くて苦労している女性は、「努力が足りない」とか、「仕事を選んでいるからではないか」などと、個人の心の問題として自己責任を問われる風潮があるように感じます。

 一億総中流の時代はとうに過ぎ去り、格差が広がる中で、みな自分の生活を守り維持することで精一杯です。あす自分の生活がどうなるか分からない中で、他者への寛容さや想像力が失われているのかもしれません。

 あるいは、国を動かす政治家や官僚、企業のトップの多くが、こうした社会の底辺で暮らす人たちの生活を想像すらできないとすると、さらに悩ましい状況です。

 ひとり親世帯がこれだけ増える中で、シングルマザーはもはやマイノリティーではありません。男女平等が謳われる中で、まだまだ女性の声は国の政策に反映 されづらいとも言えます。子どもの貧困を解決する上で、シングルマザーの声をもっと拾い上げていく必要があると思います。

――先月には、ベビーシッターの死体遺棄事件がありました。あの事件について、新井さんはどういう印象・感想をお持ちになりましたか?

 「なぜ、顔も知らない相手に子どもを預けられるのか、信じられない」という批判もあったようですが、親族や地域とのつながりが疎遠になる中で、子育てをしながら働く女性が突発的に子どもを預けなければならなくなる状況は容易に想像がつきます。

 子どもを預けた女性の責任ではなく、受け皿となる制度や仕組みが不足していることこそが問われるべきです。女性の社会進出が進む中で、社会の矛盾が端的に現れた例ではないでしょうか。

 「実家の両親に頼ればいいではないか」「近所の人に頼めないのか」といった批判が絶えない状況は、子どもの貧困問題がこれまで顕在化しなかった背景と密接にリンクしていると感じました。

⇒【後編】「『親に復讐したい』…子どもの貧困はお金だけの問題ではない」に続く
http://joshi-spa.jp/84966



「親に復讐したい」…子どもの貧困はお金だけの問題ではない

 2014年1月、「子どもの貧困対策法」が施行されました。今後、各自治体の対策が期待されますが、言い換えれば、法律になるだけ子どもの貧困問題は深刻であり、待ったナシの状態であるということです。

 ルポ『チャイルド・プア 社会を蝕む子どもの貧困』(TOブックス)で、ある中学生は夢を問われて、こう答えています。

「ちゃんと勉強して、普通に高校に行きたい。高校にいけなかったら、バイトして仕事に就いて、普通に彼女を作って、普通に生活していきたい」――

 彼らが「普通」を取り戻すために、何ができるのでしょうか?

⇒<前編>「子どもの6人に1人が貧困状態。パート月収4万円の母子家庭も…」
http://joshi-spa.jp/84963


――番組や書籍には紹介できなかった子供たちのエピソードで印象に残っているものがあれば、教えてください。

 ある母子家庭の女子中学生は、貧困によるストレスをためた母親から虐待を受けて育ち、不登校になりました。その後は自室に引きこもってリストカットを繰 り返しています。誰からも愛されず、誰からも必要とされていないという思いから、死ぬことばかりを考える生活を今も続けています。

 私は、ある支援者を通じて彼女と知り合い、取材のお願いをすると、意外にも快諾してくれました。なぜ、取材を受ける気になったのか。後日、聞いてみると、「メディアを通じて両親に復讐できるから」と真顔で言ったのです。

 貧困が、将来への希望だけでなく、生きていく気力を奪い、両親や社会への憎悪を膨らませているという現実を目の当たりにし、非常にショックでした。

 子どもの貧困が、「経済的な貧困」だけを指すのであれば、生活保護を始めとして、必要なお金を給付すれば解決するはずです。

 でも実際には、「愛情の貧困」や「心の貧困」、「社会的なつながりの貧困」といったことも含めての「子どもの貧困」だと思います。

 解決策は、お金だけではありません。複数の要因をそれぞれの専門家がひとつひとつほどいていくか、もしくは、この社会の雇用環境や社会保障制度を根本から見直さない限り、本当の意味で貧困に苦しむ子どもを救うことはできないのではないでしょうか。

――今の日本の社会には「自己責任」という考え方がありますよね。子どもに対しては、さらに「親」という責任の押しつけ先を社会が持ってしまっている。だからこそ、子どもの貧困を見えにくくさせているようにも思います。

 番組や本を通して、私が最も伝えたいのは、もはや子どもの貧困は他人事ではないということです。

 生活保護の受給者が増えれば、税金を支払うのは私たちです。貧困の影響で就職ができない若者に対して、心のケアを行い、職業訓練を受けさせ、就職して自立できるまで面倒を見るということにも多大なコストがかかります。

 かといってその状況を放置すれば、日本経済を支える優秀な人材や貴重な労働力が育たずに、日本の経済は傾き、財政はますます逼迫して、日本社会が急速に衰退していくことになるでしょう。

 子どもの貧困は、教育や福祉、労働の分野など様々な視点から見ることが重要ですが、それらを横断しながら、さらに大きな視点で見つめるべき重要な社会問題なのだと思います。

 今は貧困状態にない私たちも、いつどういったタイミングで貧困に陥るかわかりません。貧困への手当は、私たちへの「保険」にもなりうるはずです。

――「他人事ではない子どもの貧困」を浮き彫りにすることで、逆に「貧困な子供=かわいそうな子供たち」というレッテル貼りに加担するというリスクも、お感じになられたのではないでしょうか。

 私が子どもの貧困を取材する上で最も恐れているのは、そうしたレッテル貼りに加担してしまうことです。取材の最中もそうですし、本が発売された今もそれを一番恐れています。そのような批判があり得ることは重々承知しています。

 実際に、テレビでは、番組全体のテイストから、登場する子どもたちは、「かわいそうな子どもたち」という印象になることが避けられません。プライバシーを守るためにつける顔の「ボカシ」が逆にそうした印象を強める結果につながっているのかもしれません。

 でも私が会った貧困家庭で育つ子どもたちは、よく笑うし、アニメやゲームの話題を楽しそうに話す普通の子どもたちです。当たり前ですが、いつも泣いて暗い顔をしているわけではありません。だからこそ子どもの貧困は「見えにくい」とも言えるのです。

 私はマスメディアを通じて何かを伝える上で、知らず知らずに誰かを傷つけることがあることに、常に自覚的でありたいと思っています。取材者はその加害性 からは決して逃れられません。これを伝えることで、あの人やこの人はどう思うだろう。そう考え始めると恐くて眠れないことはよくあります。

 しかし、誰かがリスクを取り、実態を少しずつでも広めていかなければ、何も始まりません。貧困の家庭で育つ子どもたちが「かわいそうな子どもたち」とい うレッテルを貼られてしまうことも心配ですが、むしろそれよりも私が恐れているのは、子どもの貧困が社会問題化しないまま見過ごされていくことです。違和 感があると批判を受けかねない、「チャイルド・プア」という造語をタイトルにあえて使っているのも同じ理由です。

――子どもが貧困状態になる背景は、たったひとつではなく、「ひとり親世帯」「親の離婚」「親が何らかの依存症」「親からの虐待、ネグレ クト」「不登校」「いじめ」など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。しかも、経済的な貧困が心の貧困をうみ、それは次世代へ継承してしまう「貧困 の連鎖」となっていきます。これはどう断ち切っていけばいいのでしょうか。

 子どもの異変は不登校などがきっかけで発覚することが多いです。そのときにどのような支援が必要かというと、スクールカウンセリングのような本人の心のケアだけではなく、子どもの家庭環境に目を向けることが大切です。

 親がアルコール依存症で子どもをネグレクトしているのであれば、親を保健師のもとに連れて行き、児童相談所と協議する。親が失業したことで住まいや食事 に困っているのであれば、福祉事務所を通じて生活保護につなげる。親がうつ病などを患い、家庭環境が悪化しているのであれば医療機関で適切な処置をしてもらう。

 こうした、貧困を背景に現れた症状のひとつひとつを、どこの社会資源につなげて解決すればいいか、ワンストップで相談に乗ってくれる役割が求められてい ます。ただし、学校だけでは限界があります。スクールソーシャルワーカーがその役割を期待されていますが、普及はまだまだですね。

――そのほか、具体的な取り組みはあるのでしょうか。

 東京都北区でいい事例があります。地域で生まれ育ち、自営業を営む男性が、地域のコーディネーター役を担っているのです。「地域支援員」という立場で学 校に出入りし、日ごろから校長や養護教諭とコミュニケーションを取りながら、不登校の子どもたちを把握して家庭訪問をします。保護者と面会をし、必要に応 じて適切な機関につなげるのです。いわば、学校と家庭と社会資源をつなげるパイプ役です。

 この方は、長年地域で暮らしているため、地元の保健師やケースワーカー、児童相談所の職員などとのネットワークを持っていて、子どもに問題が生じたらす ぐにどこの誰に相談すればいいかが分かっていることです。子どものケース会議では、この方がハブとなって、各分野の専門家たちが顔を付き合わせて対策を練 ります。

 さらに、子どもたちにとってもメリットがあります。学校の先生や児童相談所の職員だと、緊張関係が生じる子どもたちも、「地域のおじさん」になら心を開きやすいのです。実際、この男性の携帯には、問題を抱えた子どもたちからの電話やメールがひっきりなしにきます。

 行政機関の縦割りの弊害が言われて久しいですが、地域で長年暮らす人材をうまく巻き込んで、それぞれの分野の専門家が定期的に顔を合わせる機会をつくる。こうして子どもたちを複数の目で見守る環境を整えていくことが、ひとつのヒントになるような気がします。

 繰り返しますが、この問題は、私たち日本人全体の問題です。子どもたちは、いまこの瞬間も助けを求めています。学齢期の子どもたちにとって、一日一日が取り返しのつかない貴重な一日で、まさに「まったなし」の状況なのです。


※新井直之氏の『チャイルド・プア 社会を蝕む子どもの貧困』を無料で公開中。
⇒2章までのサンプル原稿はこちら
http://www.tobooks.jp/books/ChildPoor_sample.pdf


【新井直之】
NHK報道番組ディレクター。1982年、埼玉県生まれ。2005年にNHKに入局。仙台放送局を経て、2010年から「おはよう日本」でニュース企画や震災関連の特集を担当。2012年から「特報首都圏」でドキュメンタリーを始めとする報道番組を企画制作。
主な担当番組は、ハイビジョンふるさと発「昔話が消えてゆく~東北の村を訪ねて50年~」(2007年)、「求むおらほの“なかま”~宮城・鬼首山学校の 奮闘~」(2010年)、特報首都圏「チャイルド・プア~急増 苦しむ子どもたち~」(2012年)、地方発ドキュメンタリー「逆境を生き抜け~急増 “チャイルド・プア”闘う現場」(2013年)、小さな旅「雷さまの慈雨~栃木県下野市~」(2013年)、NHKスペシャル「台風連続襲来“記録的豪 雨”はなぜ?」(2013年)

<INTERVIEW、TEXT/鈴木靖子>

朝日新聞デジタル 2014年7月26日
日本で123万8千世帯に上る母子家庭の暮らしは厳しい。

 厚生労働省によると、母子世帯の母親が働いて稼ぐお金は年間平均181万円
日本のシングルマザーは8割以上が働く。
就労率6~7割程度の欧米よりも勤労世帯の割合が高い。
生活保護を受けるのは約1割にとどまる。
健康で働ける人たちには、国はまずは就労を促すからだ。

 働いているにもかかわらず、日本の母子家庭は貧しい。
母子世帯のうち、収入が125万円に満たない「貧困層」の割合は、およそ半数の48・2%にのぼる。
先進国で最悪のレベルだ。

 日本の母子家庭の貧困度合いが突出しているのは
「男は稼ぎ手、女は家。
女性は働いても家計の補助」
という「隠れた意識」が根強いなかで、
女性労働者が低賃金労働に置かれていることが大きい。
女性の4割は年収200万円以下だ。

 母子家庭の貧困の裏側には、離婚後に養育費を払わない父親の姿もある。

 DVから金銭トラブルまでさまざまな相談にのる公益社団法人「日本駆け込み寺」の玄秀盛代表(58)は10年前に離婚。
だが養育費を払ってこなかった。
「借金を抱え、それどころじゃなかった。
自分のせいで子どもたちに進学を諦めさせてしまった」
と悔やむ。

 日本で離婚する世帯で、8割は母親側が子どもを引き取る。
日本の母子家庭の収入に占める養育費の割合はわずかに3%
日本では裁判所を通さない協議離婚が9割を占め、養育費の取り決めをしない場合が多いからだ。
米国では養育費は収入の1割にのぼる。
滞納者には自動車運転免許の停止などの強力な措置がある。
スウェーデンには養育費を政府が立て替え払いする制度もある。

 宇都宮市の女性(41)は14年前に離婚。

高2と中3になる長女と長男を必死に育ててきた。

 午前6時半に起き、子どもの弁当を作る。

契約社員として勤める機器レンタル会社に出勤し、午後6時まで働く。
午後7時半からは居酒屋で、遅いときは深夜0時まで働く。
眠りにつくのはだいたい深夜2時ごろになる。
そんな毎日だ。

 昼間の会社の時給は850円で、手取りは月11万~12万円にとどまる。

居酒屋のキッチンで時給850円のアルバイトをして月5万円を足さないと生活が成り立たない。

 別れた夫からの養育費は月に5万円のはずだったが、最初の3年で途切れた。

「養育費があれば、もっと生活は楽になるのに」と思う。
気がかりなのは子どもたちの教育費だ。
「いまはぎりぎりの生活。
娘は東京の専門学校に行きたいと言っているけど、
奨学金を借りてもらうしかない」

■母子家庭の困窮、子へ連鎖

 シングルマザーの世帯の総所得は243万円で、

子どもがいる世帯全体の平均673万円の3分の1にとどまる。
教育支出が自然と限られる母子家庭の貧困は、
子どもたちへと連鎖しがちだ。

 関西地方に住む女性(21)は小学生の時に親が離婚し、母子家庭で育った。

 パートで働いていた母に負担をかけまいと、定時制高校を選んだ。卒業後も正社員の仕事は見つからず、パン工場でアルバイトを始めた。

時給は750円、月7万円ほどで家計を支えた。
昨年、母が脳梗塞(こうそく)で倒れ、面倒をみるためにバイトをやめた。
貯金もなくなり、生活保護を受け始めた。

 母の体調が良くなってきた先月から、地域の女性支援施設で就労体験を始めた。

市民講座のチラシをそろえて封筒に入れ、宛名のシールを貼り付けていく。
「少々お待ちください」といった職場での言葉づかいも学ぶ。
「今まで誰も教えてくれなかったから新鮮」と語る。
1年後に事務の仕事につくのが目標だ。
100円ショップで買ったリボンの形の指サックを大事にしている。

 母子家庭に対する公的支援の柱は、所得に応じて月に約9千~4万円支給される児童扶養手当だ。

子どもが2人だと5千円、3人だとさらに3千円の加算となり、母子家庭の7割が受け取っている
だが、母子家庭にとって「頼みの綱」の児童扶養手当について、政府は2002年から要件を厳しくするなどしている。

 シングルマザーの支援を続けてきたNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長は

「母子家庭に対しては就労支援や相談事業など一見、多くの支援メニューがあるように見える。
だが周知も利用も十分ではない
と指摘する。

 女性が「輝く」はずの安倍政権の女性支援施策から、母子家庭は取り残されているように見える。(岡林佐和、山田佳奈)

     ◇

■養育費徴収制・財政支援の検討を

 《周燕飛(しゅうえんび)・独立行政法人「労働政策研究・研修機構」研究員の話》 ネットシッター事件の背景には、働きに出ざるを得ない母子家庭の困窮と、保育サービスの不足がある。

母子家庭の貧困率は厚生労働省の調査で毎回50%を超え、深刻だ。

 日本ではシングルマザーの就業率が80%超と先進国で極めて高いが、

賃金が低く、「働いているのに貧困」というケースが多い。
5年以上母子家庭の状態が続いているケースが大半で、
貧困から抜け出せない現状もある。

 日本は労働市場が男女で分断されており、「正社員で終身雇用・年功序列」の男性に対して「出産で離職後、中途採用で非正規社員」が多い女性は経済的に不利だ。母子家庭の収入に占める養育費が3%程度と諸外国に比べて低いことも、困窮の一因だ。

 解決策は労働市場を抜本改革して男女間、正規・非正規間の雇用格差を解消することだが、日本には古くからの慣行や文化に根強い支持があり簡単ではない。

 だが、母子家庭のうち推定15万世帯が食べるのにも困る「絶対的貧困レベル」にあり、対策は急務だ。

養育費の強制徴収制度や、
父母ともに親権を持つ共同親権制度を導入したり、
貧困層への財政支援を手厚くしたりする必要がある。
     ◇
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「無料塾」継続困難に 来年度から国の補助減
琉球新報 9月5日(金)配信

 県内11市町で実施されている生活保護世帯の児童・生徒への無料塾が来年度以降は事業を縮小したり、実施できなくなる懸念が自治体関係者の間で広がっている。

国の制度変更で補助率が全額補助から2分の1補助に引き下げられ、自治体負担が増えるためだ。
関係者は「(貧困の連鎖を断ち切る)事業として着実に効果を上げている。
続けるためにも国が財源確保をすべきだ」と指摘する。

 琉球新報は事業を実施している県内7市と4町を所管する県に、来年度の事業の見通しを質問した。

名護市が補助率の低下を理由に「縮小せざるを得ない」と回答したほか、
6市と県は予算編成作業がこれからのため「検討中」「実施に向けて調整」などとしたが、事業実施には「財源確保が課題」などと答えた。
出典:ヤフーニュース(琉球新報)


(安倍内閣には、以前(2007年)からこどもの貧困の問題が指摘されていました。その結果が以下のグラフです。)

(こどもの貧困率の逆転現象)
http://www.jec.or.jp/soudan/images/kikanshi/66-2-7.pdf
 子どもの貧困率は、世界的な経済状況よりも、国内の政策という人為的かつ意図的なものに左右される度合いの方がはるかに大きい。これを示すのが、上の図である。  上図は、先進諸国における子どもの貧困率を「再分配前」(就労や、金融資産によって得られる所得)と、それから税金と社会保険料を引き、児童手当や年金 などの社会保障給付を足した「再分配後」でみたものである。再分配前の貧困率と再分配後の貧困率の差が、政府による「貧困削減」の効果を表す。
 先進諸国においては、再分配前に比べて、再分配後には貧困率が大幅に減少している。つまり、政府の再分配政策(税制や社会保障制度など)によって、子どもの再分配前の貧困率を、大きく削減している。

 この図の衝撃的なところは、日本が、OECD 諸国の中で、唯一、再分配後の貧困率が再分配前の貧困率を上回っている国である。つまり、日本の再分配政策は、子どもの貧困率を削減するどころか、逆に、増加させてしまっているのである。 

 こどもの貧困については、安倍内閣には以前から、以下の様に、こどもの貧困の問題が指摘されてきました。

2007年2月13日、日本共産党の志位和夫委員長が、衆院予算委員会での総括質疑で、子どもの中での貧困の広がりを指摘し、「成長の可能性をはばむだけでなく、貧困が次世代に引き継がれる危険をつくりだしている。日本の未来にとって重大な問題だ」と、安倍晋三首相を問いただした。
志位氏は、経済協力開発機構(OECD)の報告書をもとに、平均的所得の半分(貧困ライン)以下の家庭で暮らす子どもの割合が、OECD諸国平均を上回る 14・3%にのぼると指摘。とくに母子家庭・ひとり親家庭では貧困ライン以下の家庭で暮らす子どもの割合が57・9%にものぼり、平均の三倍近くになるこ とを明らかにした。

 安倍首相は「貧困が再生産される日本にしてはいけない」と答弁した。

 志位氏は、子どもの貧困に向き合う政治の責任として、予算のあり方と最低賃金の問題を取り上げた。

 志位氏は「税制と社会保障で所得の再分配をおこなうことが予算の役目だ」と指摘。ところが、日本では税制と社会保障によっても子どもの貧困率が逆に1・4%高まるという逆立ちぶりを浮き彫りにしたグラフを突きつけた。

 志位氏は、所得の低い母子家庭に対して子どもが十八歳になるまで支給されている児童扶養手当の大幅削減を政府がすすめようとしていることを批判し、
生活保護を受けている母子家庭への母子加算の段階的廃止を政府がすすめようとしていることを批判し、
「母子家庭の『命綱』を二本ともたち切ろうとする冷酷な政治だ。
中止を強く求める」と要求した。

 母子加算の段階的廃止について、安倍首相は「生活保護を受給している世帯と、していない世帯との公平性をみないといけない」とのべた。志位氏は「懸命に 生きている母子家庭から母子加算を取り上げるのではなく、必死に働いても生活保護水準以下の暮らししかできない母子家庭の水準を引き上げるために心を砕く ことこそ、本当の公平性だ」と厳しく批判した。

最賃の抜本的引き上げを

 さらに志位氏は、貧困の広がりの土台に世界でも最低水準の最低賃金があるとして、「最低賃金で働いても貧困にならない社会を目標にし、最低賃金を労働者の平均的所得の五割にすることを目標に掲げるべきだ」と求めた。

 安倍首相は「中小企業を中心に事業経営が圧迫され、雇用が失われる可能性が高い」と答弁。
志位氏は「中小企業の経営を圧迫するというなら、無法な下請けいじめをやめさせることこそ必要だ。
最低賃金の抜本引き上げを中小企業の経営を応援する政治と同時並行ですすめるべきだ」とのべた。
その上で、「貧困と格差を土台からただしていくために、最低賃金を抜本的に引き上げ、全国一律の制度とすることを強く求める」と強調した。
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日本弁護士連合会前会長の宇都宮健児弁護士に、貧困拡大・秘密保護法・憲法・集団的自衛権をめぐる現状と課題について話を聞いた。

●生活保護費削減で3日分の食費失う

 「実は、昨年の国会では、秘密保護法以外にも重要な法案がいくつも可決されています。

前回の通常国会で生活保護基準が変更され、昨年2013年8月1日から生活保護費が引き下げられました
3年間で670億円削減させる予定になっています。
生活保護に関しては、2003年に0.9%、2004年に0.2%と、過去2回基準が引き下げられていますが、
今回の引き下げ幅は平均が6.5%、
世帯によっては最大10%の支給額引き下げになっており、
制度利用者が大変なダメージを受けます。

 支給額の見直しは、物価下落を大きな理由とするものですが、物価が下がっているのはパソコンや家電製品などで、生活必需品、水道光熱費、公共交通機関の料金、灯油などの生活に直結する費用は円安の影響等により、むしろ上がっています。そういう中で生活保護世帯の生活費を670億円も削減するのです。

 ある生活保護受給者から、私は手紙を受け取りました。

昨年8月から受給額が2000円下がったそうです。
その人の食費は1日700円くらいで、2000円は約3日分の食費に相当します。
その2000円の痛みが国会議員はわかっていないのではないかと、手紙は訴えています。

 また、生活保護に関しては、改悪となった問題がほかにもあります。

そのひとつは、申請方法の変更です。
それまで口頭でも可能だった生活保護申請は、書面で申請しなければならなくなりました。
その際に、収入や所有財産を証明する資料を添付しなければならないのですが、
路上生活者やDVの被害者などは、収入や財産を証明する資料がない方が多く、
書類不備を理由に窓口ではねつけられる可能性があります」

●英独は生活保護受給者9%台、日本は餓死者多発

「それから扶養義務者の調査を強化することになりました。

例えば、生活困窮者が生活保護を申請する場合に、
実家にどれだけ扶養能力があるかなど、扶養義務がある親族の収入や資産が徹底的に調査されます。

(中略)

 このような生活保護受給者バッシングを利用して、

安倍政権は生活保護制度を改悪しています。
いま日本では、生活保護受給者が約215万人おり、
全人口の約1.7%ですが、
ドイツは同9.7%に当たる約790万人、
イギリスは同9.27%に当たる570万人
が生活保護制度を利用していますが、
これらの国々ではバッシング報道など起きていません。

 日本では生活保護受給資格のある人のうち、実際に制度を利用しているのは、学者の調査では2割以下です。厚生労働省の調査でも3割くらいです。

 そのために孤立死や餓死が多発しています

昨年5月24日に、大阪で28歳の母親と3歳の男の子の遺体が発見されたと報道されて注目を集めましたが、
捜査官の話によると、公共料金の請求書に「おなか一杯食べさせられなくてごめんね」という書き置きがあったといいます。
この母子が生活保護制度を利用していれば命は助かったと思うのですが、実際にこういうことが多発しているのです。

 生活保護受給者数は過去最多を更新し続けていますが、

受給者が増えている理由は、格差が広がって生活困窮者が増えているにもかかわらず、社会保障が不十分だからです。
このような根元的な原因を手直しするのではなく、生活保護受給者をバッシングして生活保護を受けにくくするのは、弱者切り捨ての政策といえます。

 安倍政権はさらに、医療・介護・年金などの社会保障制度全体に変更を加えようとしていますが、

それは憲法25条(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)を空洞化させようとするものです。
これは低所得者にとって非常に厳しい政策といえ、さらに4月からは消費増税により、ますます格差と貧困を拡大させてしまいます」

●大企業優遇政策

 「労働問題では、雇用破壊が進められています。

リーマンショック後、派遣切りされた労働者が寮や社宅を追い出されて、貯金を使い果たし、野宿を余儀なくされる人がたくさん出ました。

 私たちは08年暮れから09年始めにかけて日比谷公園にテント村を設置して、野宿者たちの支援活動をしましたが、

それが大きく報道されたことで、自民党政権による失政の象徴のようになりました。
その後に民主党政権が成立し、不十分ではあったものの労働者派遣法が改正されましたが、
今度はまた全面的に派遣労働の規制を緩和しようとしています。

 派遣の場合は、現在は専門26業種に限って期間の制限がないのですが、それを全業種期間の制限を撤廃しようとしています

また、限定正社員制をつくり、正社員でも解雇しやすいようにしようとしているのです。

 国家戦略特区構想は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)と密接な関係があります。

韓国では、アメリカとFTA(自由貿易協定)を締結する前に特区制度がつくられており、医療や教育などについて規制緩和が行われています。

 国家戦略特区は、雇用・医療・教育・農業などの分野にまたがり、関連の法案も出されています。

一番の問題は、雇用特区においては、簡単に解雇でき、残業代を払わなくてもいいような制度の導入を目論んでいることです

------参考資料はじめ-------------
「韓国人の借金が金融危機の水準にまで激増している」 韓国人の収入の1/7が借金返済に回される状態に

【2012年9月4日】
 韓国の家計の債務返済負担が、米国経済を金融危機へと追い込んだ2008年のサブプライムローン問題当時の水準に近づいているとして、韓国銀行金融通貨運営委員会が警告を発した。
 
------参考資料おわり-------------

 しかし、このような雇用特区構想は、実質的に“解雇特区”であると批判されたことで先送りにはなりましたが、安倍政権は、基本的にこのような考え方を変えていません。

 安倍首相は、『企業が世界一活動しやすい国をつくる』というスローガンを掲げ、

労働者を解雇しやすく、残業代も払わなくていい制度をつくろうとしています。
確かに、そういう特区ができれば企業には天国ですが、働いている人にとっては地獄です」

●国会が博打を推奨する異常事態

 「さらに国家戦略特区に関しては、カジノをつくって博打をやらせようとしていることも見逃せません。

中国・マカオが、米国・ラスベガスを抜いて世界で最も売り上げの大きなカジノとなりましたが、その規模は3兆円です。
ところが、日本のパチンコ・パチスロ産業は19兆円市場であり、すでに世界屈指のギャンブル大国といえます。

 クレジットカードやサラ金による多重債務者の救済をしてきた経験上、

ギャンブルの依存症になって相談に来るケースが多くあります。
ギャンブル依存症は一つの病気であるとWHOも認めています。
厚生労働省の調査でも、依存症にかかっている人は数百万人いるとされていますが、この対策はほとんど取られていません。

 隣国の韓国は、国家機関の中に依存症対策のセクションがあり、パチンコは06年に全面禁止になりました。

韓国内には17カ所にカジノがありますが、韓国民が利用できるのは、そのうちの1カ所だけです。
ソウルからバスで2時間半くらい走ったところにあるカンウォンランドがそれです。
ところが、この1カ所だけでも、全財産をなくしたあげくに自殺した人が10年間で35人出ています。
強盗、殺人、窃盗などの犯罪が激増し、周辺で野宿するホームレスも増えています
このようなことが大きな社会問題になっているのです。

http://sightfree.blogspot.jp/2010/11/1700.html
(上のグラフは、報告サイト(1)(2)(3)(4)(5)(6)のデータを使いました) 
(1997年の青少年保護法の制定以降、韓国の性犯罪が(自殺率も)急増しました)

 超党派の国会議員から成る国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)の最高顧問を務めているのが

安倍首相と麻生太郎副総理、
石原慎太郎・日本維新の会共同代表、
小沢一郎・生活の党代表で、
ほかにも主だった国会議員が顧問に名を連ねています。
議連には与野党135人の国会議員が入っています。
博打は刑法で禁止されているにもかかわらず、首相をはじめ錚々たるメンバーが博打を勧めているのは異常ではないでしょうか」

 安倍政権は、貧困拡大政策と併行して、解釈改憲で集団的自衛権の行使を容認しようと躍起になっている。貧困拡大と集団的自衛権の行使容認はどのような関係があるのか。

安倍政権の格差拡大政策は、戦争参加の自衛隊に貧困層を入隊させるため?日弁連元会長激白

恐怖の秘密保護法、情報を聞くだけで処罰、国民を重要情報から遮断~日弁連元会長が警鐘



安倍政権が、兵庫7区から衆議院選挙に立候補する意向を表明した自民党県議の大前春代氏を除名処分にし粛清し、在特会癒着の山田賢司を公認

2014年11月23日、兵庫県西宮市で在特会と共闘してヘイトスピーチデモに携わっている、在特会の大阪支部長が立ち上げた「凛風やまと・獅子の会」が主催し、在特会元副会長の立ち上げた「なでしこアクション」や在特会と共に過激なデモを行う「そよ風」「尊皇隊」等の複数のヘイトスピーチデモ団体や右翼団体が協賛している行事が予定されており、山田賢司議員が特別講演を実施することになっていることが、在特会サイト上の「行動する保守運動カレンダー」で告知されている。

~検証~いわゆる従軍慰安婦展in西宮11月23日
(衆議院議員#山田賢司 さんの特別講演あります。) 
~検証~いわゆる従軍慰安婦展in西宮(在特会推薦)
  【動画】自民党・山田賢司衆院議員がヘイトスピーチ規制PTで国連批判 ヘイト団体を全力擁護
(山田賢司議員は、自民党のヘイトスピーチ規制PTで、ヘイトスピーチ規制が在特会を排除するような内容にしないよう努力する意向を示している)


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